どうせ効かないと思うけどリデンシルを真面目に検証した

リデンやプランテルEX、Deeper3Dといった育毛剤に使われている育毛剤の成分のリデンシル。

ネット情報では、ミノキシジルの2倍とか3倍の効果があるとか言ってますが本当なんでしょうか?

学術的な文献で真面目に検証してみてみました。

そもそもリデンシルとは?

スイスの化学薬品メーカーのInduchem(現在はGivaudanという会社に買収されてます)という会社の開発した育毛成分です。

医学文献を探すと、見つかったのは、どうやら開発元のInduchem(インデュケム社)が出したものしか見つかりませんでした。

そこで、これを手がかかりに効果を探ってみます。

リデンシルは様々な成分の複合体?

その文献によると、リデンシルとは、次のような成分を含んだ成分の複合体です。

  • ジヒドロクェルセチンというフラボノイド(=有機化合物)0.005%
  • 没食子酸エピガロカテキン0.0009%
  • アミノ酢酸グリシン0.005%
  • 塩化亜鉛0.002%
  • グリセリン(保湿剤)50%
  • 水 49%

ほぼ水と保湿剤ですが(笑)、「0.0009%」とか、「0.005%」とか「ほんのちょっとだけ」入っている成分が違いを生むんでしょうか?

ちょっと見てみました。

ジヒドロクェルセチン=DHQGとは

DHQG=ジヒドロクエルセチンは、ヨーロッパカラマツの木から抽出した物質です。

ヨーロッパカラマツ

松の木の成分なら大したことなさそうですが、文献曰く、毛髪の生成に関わる2つの細胞、毛乳頭細胞と幹細胞を活性化したり、細胞のアポトーシス(細胞の自然死)を防ぐ作用があるそうです。

リデンシルの作用部位

没食子酸エピガロカテキン=EGCG2とは?

没食子酸エピガロカテキンはEGCG2と呼ばれ、チャノキ、つまりお茶の葉っぱから抽出されたカテキンのことです。

チャノキ

EGCG2は、薄毛の原因となる頭皮の炎症を抑える、抗炎症作用があるとしています。

カテキンは色々身体に良さそうなイメージはありますが、頭皮にも良い?

本当でしょうか?

後で検証します。

アミノ酢酸グリシン、塩化亜鉛

グリシンも亜鉛もケラチンという髪の毛を作るのに必要な物質を作る物質。

今どき、日本で栄養不足で薄毛になる人は「まずいない」(聖心毛髪再生外来の医師談)

という事ですので、効果としてはそこら辺で売ってるサプリメントみたいな「気休め」程度でしょう。

これが主成分ではなさそうです。

効果は証明されているか? – 培養試験結果

DHQG、EGCG2と何だかスゴそうな効果が期待できる成分が入ってるみたいです。

ホントかよ?

という事で実際の試験結果が知りたくなりますね。

そこで、まずは「試験管」での試験結果を紹介します。

先ほどの文献に載っていた培養試験の結果です。

試験方法

  • AGA患者で自毛植毛手術をする人2人から毛包(≒毛髪+毛穴組織)を30株ずつ(毛包の単位は「株」)採取した。

毛包
(毛包/一つの毛穴からは複数の毛が生えています)

  • その毛包を、①リデンシル1%の液で培養するもの10株、②ミノキシジル1%(=リアップの成分)で培養するもの7株、③ただの水につけておくもの7株、の3種類に分け、7日後、10日後でどれくらい成長しているか、どれほど成長に差が出るのか計測した。

*毛包には、”毛髪製造工場”である「毛穴組織」もついているので、成分に効果があるなら毛髪が成長する。

試験結果

  • 水につけておいた毛包に比べて、リデンシル1%で培養した毛包は、7日後に75%、10日後に214%大きく成長した。
  • ミノキシジル1%で培養したものは、それぞれ+25%、+118%だった。

リデンシル vs. ミノキシジル試験結果

文献の結論

  • リデンシルは毛包を成長させる効果があった。
  • その効果はミノキシジルの1.8倍だった。

私のぶっちゃけた感想

なにはともあれ、結果は結果。

どんなに少ないサンプル数の試験でも、それがたった1回だけの試験結果であっても、統計的な有意差をもって水よりも高い効果を証明したのは事実です。

しかし、重箱の隅(すみ)をつつくようですが、ミノキシジルと比較した場合を「1.8倍」としたのは言い過ぎというか、科学的ではありません。

「1.8倍」は、それぞれの培養10日後の、水につけた毛包の長さとの差、214%、118%の差(214÷118)から計算したんでしょうが、214%と118%が「統計的に有意な差があったのか」、つまり「誤差範囲」ではなかったことを証明する検定結果が書かれていません。

故意に書いていないのか、たまたま書かれていないだけなのかは分かりません。

ただ、この点以外の説明には、見せつけるように検定結果(下記「significant with p<0.01」など)を書いていますので、統計的に意味のある差が出なかった(=誤差範囲)というのが本当の所ではないでしょうか?

リデンシル試験結果有意検定

ちなみに、皆さんの中には、「1.8倍」もの差があったら「誤差範囲」というのは違和感を持つ人がいるかもしれません。

でも、サンプル数が、両方で17(リデンシル10株、ミノキシジル7株)しかありませんので、「差があるように見えるけど、統計的に計算してみると、誤差範囲でないとは言えない」(つまり、誤差範囲)となるのは、この手の小規模な試験ではよくあります。

この文献、序盤からここまで、非常に科学的に、私情を挟まず書かれているのに、最後の最後で、商売根性?が前に出て、数字をよく見せようとしてるのは「惜しい」。

私みたいに意地の悪い人間からしたら、結局、都合の良い試験結果だけ載せたんじゃないか?と疑いたくなってしまいます。

ちなみに、「リデン」という育毛剤が、このデータ(「1.8倍」)をサイトにデカデカと載せて「ミノキ系より効果がある」と書いてますが、デタラメとは言いませんが、誇大広告だと思います。

臨床試験結果はどうだったか?

「試験管」での試験結果に続き今度は、実際に「人」で使った試験結果=臨床試験の結果も見てみましょう。

試験方法

  • AGA患者に、3か月間にわたって、3%のリデンシルを使ってもらい、リデンシルの育毛剤を使っていないグループと比べて、どれくらい効果に差があるか測定した。
  • 効果は、「休止期」の毛髪、「成長期」の毛髪*それぞれがどれだけ増えたか・減ったかにより測定された。
  • 試験に参加したのは26人の男性。①リデンシルを使ったグループ、②ただのアルコール水を使ったグループの2グループに分け、それぞれの人数は、14人、12人だった。
  • アルコール水を使ったグループには「アルコール水」とは伝えずに「育毛剤」として渡した。
  • 各グループは、リデンシルまたはアルコール水を1日3.5ml塗布。塗布後の洗髪は禁止した。

*毛髪は休止期→成長期を繰り返していますが、薄毛の人は休止期の毛が増え、成長期の毛が減っているとされています。

試験結果

<成長期の毛を増やす効果>

  • アルコール水を塗布したグループ12人では、効果が見られなかった。
  • 一方、リデンシル3%を塗布したグループでは、効果が現れた人(成長期の毛が増えた、休止期の毛が減った)が14人中12人、85%に上った。
  • 別の文献では、ミノキシジル1%の場合、12か月の塗布で効果は17%~30%との事だった。
  • リデンシルを塗布した14人では、成長期の毛髪が8.9%増え、休止期の毛髪が16.5%減少した。

リデンシル臨床試験結果

<増毛効果>

  • リデンシル3%を塗布したグループの3か月後の毛髪密度は、17本/cm2増えた。
  • これは、頭皮面積を600cm2とすると、10,200本増えることになる。最高では42本/cm2増えた人もいたので、同様に計算すると、28,200本増えたことになる。

<患者自身の自己評価>

  • 患者自身の評価でも、3か月後のアンケートでは、71%の人が満足、同じく71%の人が購入したいと答えた。

文献の結論

リデンシル3%は、髪の毛の質(太さ、コシ、長さ、成長率)を改善する効果があった。

私のぶっちゃけた感想

結論にインチキはありません。少なくとも、この非常に小規模な試験では、リデンシル3%が成長期の毛を増やし、髪の密度を増やし、患者満足度を高めたことが証明されています。

ただ、大きな疑問が2つあります。

ミノキシジルより効果が高い?

まず、先ほど紹介した「試験管レベル」の試験では、リデンシルとミノキシジルそれぞれで毛髪を漬け込んで成長を比較しましたが、”人体実験”ではミノキシジル使用群を設けてません。

なぜなんでしょうか?

一緒に試験して比較したら負けると思ったから?

そう疑ってしまうほど、その後の論理展開が強引です。

例えば、別のミノキシジルの試験結果を持ち出して、「ミノキシジル1%の効果が17%~30%に対し、リデンシルは85%だった」としているのは、かなりムリ筋で、説得力に欠けます。

そもそも、ここで突如引用しているミノキシジルの臨床試験は、日本人(!)での試験なんですが、24週間、つまり6か月の試験です。なので12か月後の効果云々を持ち出すのは、不当です。

それに、ミノキシジルは1%ではなく、薄くても2%、通常は5%を塗布するので、比較対象としておかしい。

というか、そもそも、全く条件の違う試験の結果を比較するのは絶対にダメ。

意味がありません。

リデンシルの効果をよく見せようと、恣意的に数字を操作している疑われてもしょうがないでしょう。

本当に1万本増毛するの?

2つ目の疑問は、毛髪の増量数が平均して1万本としている点。

1万本と言うと、自毛植毛で言うと5千株ほどになりますので、とんでもない増毛量になります。

例えば、この人で4,098株です。

自毛植毛4098株

それなのに、増毛具合を示すビフォーアフターの写真はかなり「しょぼい」です。

リデンシル臨床試験ビフォーアフター写真

増えてるっちゃあ増えてますが、よく見ないと効果が分からないくらい。

明らかに上の人よりも増えてませんよね。

何かおかしい・・と思ってみてみると、まあ、上の文章を見てお分かりだと思いますが、実際に1万本増えたわけではないんです。

ただ単に、1cm2当たり17本増えたから、頭皮の平均的な面積600cm2をかけて、つまり600倍して!約1万本としたただけなんです。

こりゃあダメですよね。

だって、17本/cm2という数字だってたった14人の測定結果。もしかしたら「たまたま」良すぎる結果が出ただけかもしれません。

それよりなにより、頭皮のどこでも同じだけ毛髪が増えるとするのも、どう考えてもムリがあります。

ちなみに、なぜ1cm2当たりの増毛数を出しているのかというと、効果測定では、頭皮の毛髪全部の数を数えたわけではなく、一部分の頭髪、正確には1.5cm2(直径1.4cmの円)だけ剃って、その狭いエリアでの毛髪量の増減を見ただけだから。

まあ、毛髪量を正確に数えるのは非常に大変な、というかほぼ不可能でしょうから、この試験のやり方自体に間違いはないんだと思います。

そういう意味では「ダマそうとして」最初からこんな試験方法を取ったわけではなさそうですが。

まとめ:リデンシルの効果

リデンシルの効果は、ネット上の口コミで見られるような、「ミノキシジルの1.8倍!」とか、「3か月で1万本増えた!」というほどスゴくはないでしょう。

また、効果の証明と言っても、1回だけの試験結果ですので、他にも、特に臨床試験の結果が見たい所ですね。

それでも、試験管レベルでも、臨床試験レベルでも、効果を証明したことは間違いない事実です。

もちろん、効果証明データが山ほどある「病院での治療」と比べると見劣りしますが、近所のドラッグに置いてある育毛剤に入ってる成分と比べたら「だいぶマシ」。

「医薬部外品」の育毛剤成分にしたって、どれも、薄毛のメカニズムが解明される何十年も前に役所に承認されたもので、直接的に発毛・育毛効果を証明した臨床試験データは、リデンシル程度のものさえありませんから。

そういう意味では、病院での治療はイヤだ、とりあえず育毛剤で試してみたいという人には「そこら辺の育毛剤を買うくらいならリデンシル配合の育毛剤の方がいい」とは言えるんじゃないでしょうか。

代表的なリデンシル含有育毛剤

色々ありますが、代表的なのは、プランテルEXとリデン。

それに最近出てきたアングレです。

 プランテルEXリデンアングレ
育毛剤種別医薬部外品医薬部外品医薬部外品
その他成分医薬部外品成分医薬部外品成分医薬部外品成分+バイキャピル4%、プロキャピル3%、アナゲイン、キャピキシル
価格10,670~15,884円9,680~14,806円5,990円(Amazon価格)
全額返金保証30日永久。ただし最初の1本のみ?30日間
+4ヶ月で効果がない場合、AGAクリニックの治療費補助

この中では、アングレがちょっと成分も価格*も保証内容も頭一つ抜けていますかね。

*Amazonでの価格

各商品公式サイト(アフィリエイトリンクではありません!)

アングレ

プランテルEX

リデン

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